要約:
サポート業務の効率化と顧客満足度向上を目指し、AIを活用した新たな取り組みを実践中。問い合わせ対応に特化した3つのAIを開発し、カバー範囲と回答精度を高めることで、迅速かつ的確なサポートを実現しました。
サポートグループでのAI活用:
こんにちは。プロダクト戦略事業部 サポートグループの蛭子です。
私たちサポートグループは、Big Advanceやちゃんと請求書のお客様からの問い合わせに迅速かつ正確に回答することを使命として日々の業務にあたっています。ミッションとしては「お客様の満足度向上(≒NPS向上)」と「業務効率up」を目標にしています。
2つあるミッションの達成に向け、現在、お客様・社内からサポートグループに来る問い合わせに自動で回答してくれるAIマシンを開発しています。まだ社内利用までの制限をかけていますが、最終的にはサービス内でお客様からの質問にAIマシンが回答しれくれるものを提供できることを目指し、日々AIをトレーニングしながら、回答の精度を高めるための作業を続けています。
今回はサポートグループで行っているAIマシンの回答精度向上の取り組みを紹介させていただきます。
AIマシンの回答精度の向上:
問い合わせに回答できるAIマシンを開発するにあたり、最も重要なのが「回答精度」を高めることです(当たり前ではありますが ^^;)。回答精度が高ければ高いほど、問題が迅速に解決し、お客様の満足度も向上するでしょう。
また、これまで回答を頑張って手作業で入力していた作業が減ることで業務効率向上にも繋がります。回答精度を向上させるための方法には、「カバー範囲」と「回答の深さ」という2つの側面があると考えています。
- カバー範囲: AIに学習させる情報量を増やすことで、AIは多様な質問に対して対応できるようになります。しかし、情報量が多すぎると整理が難しくなり、コストも高くなるため、適切なバランスを取る必要があります。
- 回答の深さ: AIに学習させる情報が詳細であればあるほど、お客様は問題を解決しやすくなります。しかし、詳細に記載するほどコストがかかるため、チームで一定の基準を設け、実際の回答を見ながら調整する必要があります。
カバー範囲を広い・狭い、回答の深さを詳しい・簡素でレベリングし、4象限にわけると以下のような感じです。
理想はカバー範囲を広く、回答の深さも深い「全知全能の神」ではありますが、ここを追い求めると相応のコストが発生します。学術博士タイプか物知り博士タイプか、どちらかを目指すのが良いでしょう。
具体的な取り組み:
サポートグループでは、「Big Advance」と「ちゃんと請求書」という2つのプロダクトに対してサポートを行っており、これらの問い合わせを1つのAIにするか、カバー範囲をどこまでにするか検討した結果、3つのAIに分けることにしました。
- Big Advance: このAIはBig Advanceに関連するすべての問い合わせに対応します。例えば、サービスの使い方やトラブルシューティングに関する質問です。
- ちゃんと請求書 発行機能: このAIは、請求書の発行機能に関する問い合わせに特化しています。たとえば、請求書の作成方法や送信手順についての質問です。
- ちゃんと請求書 電子保存(受取機能): こちらのAIは、請求書の受取機能に関する質問に対応します。たとえば、受け取った請求書の確認方法や処理方法についての質問です。
先程の4象限でいくと、「学術博士タイプ」をそれぞれのサービスごとに作る道を選んだ形です。
なお、他のサービスに関する質問が来た場合には「回答の対象外です」と返答するように設定しています。この方法で効率的に運用しています。例えば、「ちゃんと請求書」以外のサービスに関する質問には回答しないというルールをAIに学習させることで、無駄な問い合わせ対応を減らしています。
2024年の5月中旬から毎朝、AIに質問を投げて回答を確認し、問題があればその場で修正しています。このプロセスを通じて、AIは日々進化し、より精度の高い回答を提供できるようになりました。また、一定数の修正がたまったら、AIの学習データとしてアップロードしており、これにより、AIは常に最新の情報を基に回答することができています。
今後の取り組み:
目下の取り組みとして、回答精度をさらに向上させるために、チームで課題を解決しながら改善を続けています。現在、一般的な質問に対する回答はかなりの精度になっていますが、まだ改善の余地がありますので、引き続き改善サイクルをまわしていきます。
短期的な取り組みとしては、イレギュラーな質問やレアな質問に対する回答の精度を高めることにもトライしようとチームで話しています。また、中・長期的な取り組みとしては、全サービスに対応できるマルチエージェント型のAIアシスタントの構築を目指しています。これにより、お客様は一つの窓口でどのような質問にも対応できるようになり、より便利にサービスを利用できるようになります。
引き続き、TRY&ERRORの精神で新しい技術や手法を取り入れながらAIの性能を向上させ、お客様にとって使いやすく信頼性の高いサポートを提供するべく、チーム一丸となって取り組んでまいります。